原価企画活動を支援する管理工学ツールの有効性
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概要
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これまでの原価企画に関する研究は,主として目標原価の設定およびその達成のシステムに重点が置かれていた.また原価企画を遂行するツールも,主としてVEが中心的に活用されてきた.本論文の目的は,目標原価だけでなく顧客が要求する品質や信頼性,そして納期などをも同時に作り込む原価企画を明らかにすることである.したがって,それらを実現するために本論文は,機能を中心に目標原価を達成するVE,要求品質をシステマティックに作り込むQFD,最小のコストでベスト・プラクティスを実現させるベンチマーキングの3つのツールを統合して用いるほうが,有効性が高いという仮説に立っている.そこで本研究では,実証研究を通して企業が用いている3つのツールがどのような原価企画活動に影響をおよぼしているかという点と,それを踏まえての統合的原価企画へ向けた3つのツールの役割を明らかにした.研究方法は,構造方程式モデルに基づいた因果分析を通して9つのモデルを構築し,そのうち新たな知見が得られた4つのモデルを中心に論文を構成した.本稿で明確にされた新しい知見は,以下の通りである.1)商品企画のVEが顧客ニーズを取り入れて機能定義していることと,品質と機能に対してコストをトレード・オフの関係で捉えようとしている.これに対してQFDでは,品質・機能・コストをトレード・オフで考えるのではなく品質と機能に対してコストを同時に達成しようとする.2)プロダクト・マネジャーの活動は目標原価設定段階におけるVEを間接的に支援する立場にある.3)目標原価設定段階におけるQFDとプロダクト・マネジャーの関わりは非常に強い.4)基本構想段階や目標原価設定段階と同様に目標原価達成段階でもベンチマーキングが有効に機能する.
- 日本管理会計学会の論文
- 2000-09-30
著者
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伊藤 和憲
玉川大学工学部経営工学科
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伊藤 和憲
玉川大学
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朴 元煕
秋田県立大学経営システム工学科
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朴 元煕
玉川大学大学院工学研究科生産開発工学専攻博士課程
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伊藤 和憲
玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科
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