グループ経営と管理会計 : 欧米企業の事例を中心として
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概要
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日本では,グループ経営ないし連結経営なる用語が大流行し,学者およびコンサルタントによって複数の著書が出版され,雑誌および新聞記事にも頻繁に特集が組まれている.この現象をもたらした原因の1つは,2000年3月期から開始される連結主個別従の財務報告への移行と考えられる.財務会計(財務報告)が企業の行動に大きく影響すると仮定した場合,それならば長年主たる財務諸表が連結だった欧米ではグループ経営は進んでいるのだろうかという疑問が生じる.ところが,経験豊富であるからといってそれが必ずしも今でも優れているとは限らない.欧米企業においても,グループ経営のために従来のさまざまな経営管理システムやプロセスが大きく見直されている真っ最中である.しかも大幅な見直しを行っている企業の中には,たとえばProcter and Gambulのように,グローバルに最も尊敬されている企業の上位にランクされ,業績もよく,株主価値が高い企業が含まれていることに注意すべきである.本稿では,欧米企業におけるグループ経営と管理会計について,一般に入手可能な文献資料およびインタビューに基づき,具体的に検討する.グループ経営のために管理会計担当者がどのような役割を果たすことが期待され,実際その期待にこたえるためにどのようなシステムを設計しているか,その際に注意すべき点は何かについて,その現状と課題を明らかにすることが本稿の目的である.
- 2000-03-31