グループ企業における経営組織と管理会計情報 : 事業部制企業からグループ企業へ
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文では企業のグループ化にかかる経営組織と管理会計情報の問題の基礎的視点について取り扱う.地球規模での競争を前提とした環境変化に対応して,近時,わが国においても事業の多角化や地理的拡大と分散等が促進され,企業の経営組織は分散と統合,拡大と縮小,進出と撤退といった変革を常とするようになった.しかもこのような経営組織や事業の変革は、親会社の事業部や部門等の改廃によるばかりでなく,子会社・関連会社を新設し,他社を買収し,他社に資本参加し,他社と共同出資を行い,あるいは他社との合弁や他社との技術提携・販売提携・生産提携といった各種の企業結合もしくは提携によって行われている.企業のグループ化は物的流通や情報流通の発達によっても一層可能となり,いわゆる分権的統合(Integrated Decentralization)の時代をもたらすこととなった.すなわち,経営組織やこれに伴う権限と責任については分権化・分散化の方向をとるが,経営情報は必要にして十分なものを親会社又は中心となる会社に集中させ,グループ企業としての経営管理を推進する考え方もしくは経営管理方式である.各事業とこれを遂行する経営組織が発信する情報をどのように取り扱うか,環境変化のスピードにこれらをどのように対応させていくかが重要な課題である.各事業のもたらす管理会計情報に基づいて,事業や組織の改善が行われねばならないから,グループ企業の経営管理においては,事業や組織のセグメンテーションとその情報のサブ・コンソリデーションが重要性を持つ.
- 1999-03-31