大手スーパーの構造変革とマネジメント・システムの再構築
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概要
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戦後の日本経済の復興期に小売業の新興勢力として登場した大手スーパー各社は,高度成長の波に乗ってまたたくまに大企業の仲間入りを果たした.しかし,1980年代前半になると,景気後退の影響や新たな業種との競合などにより,業界全体の業績は急速に悪化し,いわゆる"スーパー冬の時代"を迎えた.大手スーパー各社は,環境変化に対応するために業務改革(通称"業革")と呼ばれる構造改革運動への取り組みを開始し,危機的状況は回避することができた.しかし,業革後の各社の業績を見ると,イトーヨーカ堂だけがずば抜けて高収益体質となっているが,例えばダイエーはイトーヨーカ堂ほどの成果は得られていない.本稿は,業界を代表するイトーヨーカ堂とダイエーの2社を対比させることによって,大手スーパーの業革運動の経営的な位置づけと,高収益を可能にするマネジメント・システムの解明を目的としている.第1節で,問題意識を明確にしたうえで,第2節では,大手スーパーの急成長を可能にした環境条件と経営戦略,および戦略実行のためのマネジメント・システムを分析している.第3節では,大手スーパーの収益力を直撃した環境変化を整理する.第4節では,計数モデルを使って,業績低迷のメカニズムを解明する.そして,第5節及び第6節では,イトーヨーカ堂の高収益体質はどのように構築されたのかを分析し,大手スーパーの業革運動の本質に迫っている.
- 日本管理会計学会の論文
- 1998-03-20