『金瓶梅詞話』に表された明代女性の頭部装身具に関して
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概要
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明代の代表的市井小説である『金瓶梅詞話』は、あらゆる階層の人物が登場し、実社会そのものを反映しており重要な服飾研究資料として利用できるものといえよう。小論では『金瓶梅詞話』の中に表された明代女性のマゲの形、髻、冠を中心にそれぞれ素材、形状と色彩を描いた部分を抽出して、当時の女性たちの髪型とその髪飾りを論じる。また、元明雑劇の写本である『弧本元明雑劇』の「穿関」に記述された、役者が扮装するときに用いる髻と、明代徽州人の肖像画である徽州容像に描かれた女性の冠を取り挙げて、『金瓶梅詞話』に表された明代女性の頭部装身具の真の意義を解き明かす。それは、中国古来の習慣で、もしその女性の属する社会的地位を、何らかの物質的表現として認識する場合、頭部装身具が最も顕著に表していると思われからである。