黒部川河口周辺海域における底質とマクロベントス生息密度の経年変化 : ダム排砂との関連性について
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概要
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黒部川水系の出し平ダムから,1992,1993および2000年を除き,1991年以降毎年ダム湖内に堆積した土砂が排出され,その量は各年2-172万m^3の範囲に及ぶ.黒部川やその河口周辺海域では,ダム排砂による生態系や漁業に及ぼす長期的な影響が懸念されている.2002-2006年にかけて,黒部川河口周辺海域において,排砂前(5月もしくは6月)と排砂後(9月)の年2回,底質とマクロベントスの生息密度の調査を行った.その結果,調告海域全域にわたるマクロベントスの平均生息密度に与える排砂の影響は確認できなかった.河口から4.6kmの範囲内の海底においては,20mg/g乾泥を超えるCODが調査期間中に2回,0.2mg/g乾泥を超える硫化物が4回観測された.しかし,これらの定点においてはマクロベントスの低密度化はみられなかった.一方,黒部川河口から0.4-0.9kmの定点においては,排砂後にマクロベントスの生息密度が0-1個体/0.1m^2に低下することが,調査期間中に2回確認された.その原因は,有機汚濁によるものではなく,土砂の堆積や移動による海底環境の不安定化によると考えられる.
- 2008-08-29
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