沖縄における赤土問題 : 溶液と赤土の化学反応(シンポジウム:サンゴ礁とその周辺海域の環境)
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概要
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沖縄島中〜北部に広く分布する酸性赤色土は,その物理性のためもあって,降雨によって流出しやすい.酸性であるだけに河川や海域に入ると,それらの化学組成を変化させるおそれがある.本稿ではこのことをとりあげた.その結果は,1)蒸留水,河川水,海水のどちらも赤土を加えるとpHは下がる.PH低下の度合いは,緩衝能力が大きいほど大きかった.この結果は,一見矛盾しているように思えるが,蒸留水の場合は赤土から溶けてくるH^+(SO_4^<2->に伴って)が主な原因であるのに対し,河川水ではイオン交換反応が起こって,赤土からより多くのH^+が放出されること,海水の場合はさらにAl^<3+>イオンの加水分解によるpH低下も考えられる.2)河川水,海水に赤土が流入すると,それらの化学組成は大きく変化する.河川水,海水と赤土との間には,激しい化学反応が起こっているといえる.3)1),2)のような結果は,棲息している生物にとっては,好ましいことではないと思われる.
- 日本海洋学会の論文
- 2008-08-29