日本の知的障害者グループホーム構想にみる「脱施設化」の特質と矛盾 : 施設主導型定着の背景
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概要
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本研究では、日本のグループホーム構想にみるバックアップ施設主導という特徴に着目して、1989年の「精神薄弱者地域生活援助事業(グループホーム)」の制度化過程をたどり、グループホーム構想の成り立ちを検証した。さらに、同構想が定着した背景と理由について考察した。その結果、バックアップ施設のシステムは、厚生省官僚による非専門職としての世話人規定と連続して構想されたことが明らかになった。すなわち、緊縮財政下にあって、安価でかつ量的拡大が見込める中高年主婦層を想定した世話人規定が登場したことにより、バックアップ施設の管理・指導的役割が強化され、グループホームが入所型施設の代替施策として確立しにくい構造が生じた。このことはまた、入所型施設偏重政策の継承を促し、グループホームの進展を遅滞させる一要因になったと考えられる。
- 2009-11-30