副詞の基礎語とその有効性について : あるJSL生徒への基礎語を使った学習の実践報告を通して
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では、志村(2007)で選定した「副詞の基礎語90語」とその活用法が有効であるかどうかを、一人のJSL生徒への基礎語を使った学習の実践を通して考察した。志村(2007)で選定した副詞の基礎語は、中学国語科教科書や日本語教育の初級教科書などの分析から選定したもので、それが実際JSL生徒の学習に役立つのかというところまでは議論されていない。そこで今回、一人のJSL生徒とともに基礎語を活用した副詞の学習を行い、基礎語の有効性を検証した。具体的には、まず基礎語をJSL生徒に提示し、その生徒の基礎語中の既習語を調査・分析したのちに、その結果を基に複数の副詞の学習をしてもらった。学習方法は、その生徒が理解している基礎語の中から、ほかの副詞への言い換えに適当と筆者が判断した副詞を選んだのち、基礎語ではない複数の副詞を、Aグループ(基礎語に言い換えて説明する)、Bグループ(基礎語に言い換えないで説明する)に分け、生徒に理解してもらうというものである。その結果、一人のJSL生徒という限られた条件下ではあるが、AグループのほうがBグループより学習の効率がよく、学習者の認知負担を軽減するという意味での副詞の基礎語の有効性が示唆されたと考える。
- 2008-07-30