中国の国有企業の改革について-凌源鋼鉄集団公司の実例研究-
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概要
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1978年の改革・開放以来、計画経済のもとで成長してきた中国の企業は、市場経済に対応するため、企業の改革において、試行錯誤しつつある。そのような改革の潮流のなかで、市場原理に基づいて企業を運営する非国有部門の郷鎮企業、私営企業、外資系企業などが著しく成長発展していく一方、中国の国有企業(特に大中型の国有企業)の大部分は、政府との関連などにより、改革の成果があまり見られなかった。本研究は、中国の国有重工業部門を代表し基幹的位置を占めている鉄鋼産業(凌源鋼鉄集団公司)を中心に、2回にわたる現地調査を行い、市場に対応するため、"現代的"企業を目指しての改革の実態を明らかにしたものである。結果として、現段階の、即ち計画経済から市場経済への移行期における中国の国有企業(特に大中型の国有企業)の改革は、政府の監督管理の圧力下での"強制的制度変遷"に頼ることではなく、一定の市場による圧力や企業の自主的な"誘導的制度変遷"を通じ、"現代的"企業を目指して、その改革を進めていくべきであると結論付ける。これは、今後の中国の他分野の国有企業の改革にとっても、一定の意義があると考える。