重度知的障害のある人の労働と暮らしをめぐる現状と課題
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概要
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知的障害の重い人たちは,働くことによって工賃を得,自らの活動に手応えを感じて自己実現をし,そして社会と連帯していく機会をもつことができる.これは一人ひとりのペースが大切にされ,多様な働き方が認められることで実現されるが,障害者自立支援法は一般就労に最も大きな価値を置いたために,障害の重い人たちの労働を脇に追いやった.また,暮らしの場については長年の実践によって,小規模化やプライバシーを尊重する方向に進んでいたが,障害者自立支援法によって再び大規模化の傾向を強めることになっている.現在,検討が進んでいる新たな制度においては,障害者権利条約と障害者自立支援法違憲訴訟における基本合意文書の立場で,重い障害のある人の労働・日中活動や暮らしの場の検討が進められるべきである.障害の重い人がどうなるかは,新制度の水準を測る試金石となる.