戦時下における城戸幡太郎と学校放送
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概要
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本論文は,1930年代後半の学校放送に関連した城戸幡太郎の取り組みに着目し,城戸の「教具」概念を手がかりとしながら,学校教育の改造を目的とする放送教育がいかに構想され,また実践されていたのかを明らかにするものである。第一節では,城戸の理論的背景を明らかにした。城戸によれば,「教育技術」とは,教育者と被教育者の協同作業によって生活技術を修練することであり,その作業で使用する媒介が「教具」であった。城戸は,教具の発達が学校教育の発達を規定するという「教具史観」の観点から,教科書とは機能や役割を異にする新しい教具としてラジオに着目した。第二節では,城戸による放送教育の構想について明らかにした。それは第一に,社会のなかで話されている音声言語をラジオによって国語教育の対象とすることであった。第二に,子どもの側からニュースを発信し交流することを通じて子どもを組織化するという「教養交歓の機関」として学校放送を利用することであった。第三節では,城戸が理論的支柱の役割を果した「学校放送研究会」について,その「理数科部会」の活動を中心に明らかにした。そこでは研究者と教師・放送者の協同によって学校放送番組が製作された。それによって,生活のなかの問題解決を通じて科学的態度を育てるという教育技術を啓蒙することが試みられた。
- 2008-03-31
著者
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