海洋環境の変化と明石海峡の漁業
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
瀬戸内海の漁業は衰退の一途をたどっていると思われているが,明石海峡周辺では活力ある漁業が維持されている.ここでは,瀬戸内海において持続的な漁業を可能にする条件を実例に沿って考察してみた.まず,明石海峡周辺で水産資源を乱獲から守る方法として,ノリ養殖の区画漁業権漁場の保護区としての効用と,潮流によって形成される複雑な環境,さらに高品質な魚を求める地元市場が近代的な効率漁具の横行を制限する実情などを紹介した.次いで,環境対策として,赤潮対策に偏っていた水質規制の問題点としてN-Pバランスの変化を指摘するとともに,海岸形状の変化が流況を変える実情や,陸域の乱開発が濁水となって海域の生態系を攪乱している実態などを紹介した.結論的には,瀬戸内海漁業の再生には(1)有害物対策,(2)望ましい栄養レベル,(3)陸域の保全,などを要望するとともに,漁業自身の体質改善を提案した.
- 日本海洋学会の論文
- 1994-08-31