三陸沿岸の海湾における海水交換と変動現象(シンポジウム:増養殖漁場の海洋環境をめぐる諸問題)
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概要
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1984年秋以降,三陸のいくつかの海湾で海洋物理学的環境の長期連続観測を実施して来た.この中から,3つの湾の湾内の長期平均流や,流れ・水温の変動に関する考察を行う.宮古湾は細長く浅い湾で,大きい河川が湾央に流入している.湾内では主に緩やかな「鉛直循環」をしており,河川水など表層水の流出の補流の形で,海水が底層から流入する機構が卓越していて,潮汐流は弱かった.この湾と唐丹湾では,湾内の定置網の漁獲と環境条件との関連についても報告する.唐丹湾は湾幅が湾長の約50%の湾で,秋の観測の前半には内部潮汐波が湾内へ数日スケールで間欠的に進入する様な強い2層構造になったため,強い「反時計回りの循環」が湾内に見られた.また,この時の潮汐周期の水温変動の間欠的発生から予測された内部長周期波とその伝播について報告する.廣田湾は,ほぼ矩形で大型の湾である.秋と翌年夏の2回の観測の結果,湾内主要部の底層では「反時計回りの循環」が顕著であり,湾奥の小友浦では「時計回りの小循環」が見られた.湾内の流れ・水温の変動と,内部潮汐波,陸棚波(海底モード)等についても述べる.
- 日本海洋学会の論文
- 1994-08-31