東北海域における動物プランクトン生物量のモニタリング(シンポジウム:海洋の長期環境変動とモニタリング-手法と戦略-)
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概要
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東北海域における動物プランクトン生物量のモニタリング調査と,その成果である生物量の季節変化および長期変動について紹介した.また,1993年4月から開始した「北西太平洋動物プランクトンモニタリング調査」の問題点について論議した.本研究は,1951年から1990年までの40年間に東北海域において採集された17,242点の動物プランクトン標本の湿重量の測定データに基づいている.親潮水域における平均的な季節変化では,生物量は5月に最大となり(41g/m^2),8月まで20〜30g/m^2の高水準が続き,秋には減少した.同様に混合水域および黒潮水域でも5月に最大となるが,夏に減少した後に11月頃に再び増加した.親潮水域における長期変動では,1956〜1962年までの第I期(平均生物量,16.5g/m^2),1965〜1978年の第II期(21.0g/m^2)と1984〜1989年の第III期(16.3g/m^2)の明瞭な3つの高水準期が認められた.混合水域および黒潮水域でも経年変動が認められるもののその変動幅は小さく,かつ親潮水域の変動と同調するような傾向は識別されなかった.親潮水域における生物量の季節変化および長期変動の主要な要因として,1)流れとしての親潮による生物輸送,2)浮魚類等による被食,3)主要かいあし類の生活史に伴う鉛直移動,4)夏季における黒潮系暖水の勢力について考察した.
- 日本海洋学会の論文
- 1994-02-28