鉛直拡散係数の計測とパラメタリゼーション(シンポジウム:鉛直混合と物質輸送)
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概要
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鉛直渦拡散係数(K_z)のパラメタリゼーションは古くから試みられており,一般にはリチャードソン数(R_i)の関数とする形が用いられることが多い.実際,赤道潜流のモデルなどでも,K_z=f(R_i)のパラメタリゼーションによって,現実に近い水温構造の分布が得られている.また,K_zの測定も多く試みられており,赤道域でのある観測ではR_iの大きさによって関数形が異なるが,いずれにせよK_zはR_iの関数として表されるという結果であるのに対し,別の観測ではK_zのR_iに対する依存性はばらつきが大きいという結果になっている.しかし後者の場合でも,前者と同様R_iの値があるところより小さくなると急激にK_zが大きくなっており,不安定領域と安定領域でK_zのR_i依存性が大きく変わることは明らかなようである.東シナ海陸棚縁辺部におけるエネルギー逸散率(ε)の測定よりK_zの鉛直分布を見積ると,海底混合層と第2躍層の上の混合層でK_zが明らかに大きくなっており,躍層の部分と比較すると10^3程度の違いがあることが認められた.また,陸棚縁辺部の斜面を横切る流れに関する数値モデルを考え,K_zの与え方によって循環や密度場がどのように変わるかを調べた.K_zを定数で与えると,密度場の拡散を抑えながら海底に限定した流れを再現するのは困難であるが,R_iの関数で与えることによって,より複雑な構造を持った現象でも再現できることが示唆された.
- 日本海洋学会の論文
- 1993-08-31
著者
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