梁啓超と木村鷹太郎 : 「哀希臘」をめぐって
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概要
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本稿は,筆者が新に発見した史料により,梁啓超が訳したバイロンの「哀希臘」は木村鷹太郎の日本語訳を参照し訳したことを初めて論証した。両訳を比較すると,梁は大幅に木村の翻訳を変更したことがわかった。梁啓超は,「哀希臘」という詩に含まれた奴隷性からの脱却や,国民の自立が国家の独立へとつながるという思想性の存在を感じ取り,意図的に木村の訳文に対して取捨選択を行った。梁啓超の重訳によって,日本ではほとんど知られざる一抒情詩は,中国の民族崛起,同胞の闘志を鼓舞する檄文に生まれ変わったのである。
- 2010-04-25