デジタル・ネットワーク環境下における著作権の在り方に関する考察
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概要
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これまでの先行研究において、著作権保護強化を否定的にみるものは多い。Akerlof et al.(2003)によれば、著作権保護水準を高める事の負の影響は主に、独占による著作物の価格高騰と、表現のコスト(法の執行コスト)の上昇であるとされている。しかし、法理論構成、企業の力の違いなどから、他国での議論は、日本にはそのまま適用し得ない。本論ではまず、日本のコンテンツ産業にとっては、著作権の保護強化を否定する要素が米国よりも少なく、「表現のコスト」削減が大きな意味を持つ可能性について述べる。そして、Landes and Posner(2003)の示した経済分析モデルを元に、「表現のコスト」削減のもたらす効用について言及するとともに、コンテンツの形態やアーティストのライフサイクル段階によっても、著作権保護強化を一概に否定できない可能性について示す。
- 2010-03-31