ラット異所性気管移植モデルにおける臓器移植後microchimerismの維持と慢性拒絶反応に対する抑制効果に関する検討-骨髄移植とFlt-3 ligandの併用-
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概要
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【目的】長期移植臓器生着患者の末梢血中にドナー由来リンパ系細胞が高頻度に検出されることはよく知られており、このmicrochimerismの成立が免疫寛容の導入に重要な役割を果たしていると考えられている。しかしmicrochimerismを長期間維持するのは困難であり、microchimerismが慢性拒絶反応に抑制的に作用するかは不明である。本研究では異所性気管移植モデルを用いmicrochimerismが慢性拒絶反応に効果的であるか、また造血幹細胞増殖因子であるFlt-3 ligand (FL)を用いることにより長期にわたり維持できるかを検討した。,【対象および方法】雄Lewis rat (LEW;RT1l)をドナーとして雌Brown-Norway rat(B.N.;RT1n)をレシピエントとして異所性気管移植を行った。ドナー骨髄細胞を経静脈的に移植した。FL を移植当日より3日間腹腔内に投与した。ドナーMHCに対する抗体を用いて移植後28日の時点でflow cytometryを行った。ラットY染色体上ゲノムに特異的なプライマーを用いPCR法を行いドナー由来DNAを検索した。移植した気管を移植後28日、42日目に摘出し気管内腔狭窄率を測定した。,【結果】flow cytometryは、骨髄移植+免疫抑制剤投与群(FK+BMT 群)、骨髄移植+免疫抑制剤投与+FL投与群(FK+BMT+FL 群)の2群について、移植後28日目に測定した。各群ともドナー由来細胞は検出されなかった。気管内腔狭窄率は免疫抑制剤のみを投与した群(FK 群) (移植後28日、n=5)、FK+BMT 群(移植後28日、42日、n=5)、FK+BMT+FL 群 (移植後28日、42日、n=5) の各群について検討した。移植後28日では、FK群は4例で完全閉塞していたのに対しFK+BMT群の狭窄率は28-62%の範囲にあり有意に低かった。移植後42日ではFK+BMT群は4例で完全閉塞であったのに対し、FK+BMT+FL群では狭窄率は27-89%の範囲にありFK群、FK+BMT群に対し有意に低かった。PCRによるドナー特異的DNAの検索では移植後28日においてはFK+BMT群、FK+BMT+FL群でドナー特異的DNAを認めた。移植後42日ではFK+BMT+FL群においてドナー特異的DNAを認めた。,【考察】microchimerismの成立は慢性拒絶反応の抑制にも効果的であると考えられた。また、FLの投与はmicrochimerismの長期間にわたる維持に有効であると考えられた。,
- 2010-03-25
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