ニューギニア島産Delias nais及びD.zebra(鱗翅目,シロチョウ科)の検討
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概要
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D.naisは後翅裏面の地色が茶褐色の特徴的な種で,ニューギニア島のほぼ全域に渡る山地から高地帯にかけて広く分布し,これまで多くの亜種に分割されてきた.一方,Roepke(1955)によって別種として記載されたD.zebraは,西パプア(前のイリアンジャヤ)のWamena市を中心とした比較的狭い地域において前者と同所的に知られ,後翅裏面の翅脈沿いに白色鱗粉を表すことが主な区別点とされる.今般,西パプアのYohosinから両者の中間的な特徴を有する多数の標本がもたらされ,検討の結果,D.zebraはD.naisの地方的表現型(endemic phenotype)であると判断した.すでにParsons(1999)はパプアニューギニアから少数の事例に基づいてこのことに言及しているが,分類学的な整理はされておらず,本報文でD.zebraをシノニムとして取り扱った.著者が調査を行ったYohosinはWamena市の東南に位置し,同市を含むBaliem Valley一帯とは深い峡谷などで隔てられることはなく,両者は連続的な地域である.他方,Yohosinの東側にはMt Elitという標高約3,600mの急峻な山岳からはじまった中央山脈がパプアニューギニアとの国境を越えて連なっている.著者の知る限り後翅裏面の翅脈沿いに白色鱗粉を明瞭に表す個体群の東限は,このYohosin周辺であり,また,それより東側の生息地は知られていない.すなわち"zebra型"の分布の東限において,パプアニューギニアから連続する"nais型"と区別のできない中間型の発現頻度が極めて高く,その集団が東側の個体群と概ね分断されている可能性が示唆される.D.naisの後翅裏面の斑紋はニューギニア島産の山地性カザリシロチョウの中でも比較的シンプルで,次の3つの要素から構成される.1)中央の黒斑(median black patch)の大きさ,2)翅脈に沿った鱗粉の色彩とその発達程度,3)これらに占領されない残りの地色部分,である.この斑紋はごく一部の生息地を除いて地理的に安定しておらず,個体による変異性が非常に高いが,いずれの斑紋も強く翅脈に依存していることは明らかで,翅脈形成にともなった変異機構であると考えられる.なお,その適応意義についてはまだ不明である.
- 2010-03-15
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