「先鋒文学」の技法
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概要
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一般的に,中国大陸において1980年代に発表された実験性の高い作品は「先鋒文学」と総称される。海外文学の影響を強く受けたその実験性は,二つの技法的側面から見出すことができる。一つは「物語内容の時間」と「物語言説の時間」の錯綜であり,もう一つは語り手の自己言及と情報制限である。これらの技法を馬原や余華などの小説を通して具体的に考察すると,その実験性は「語ること」の意識化において発揮されており,それが目指したものは,真実らしさを装わない「虚構」としての小説であったと考えられる。それに対置される正統的な「文学」は,逆に真実性・事実性を求める作品であると言えるだろう。
- 2010-02-25