政策転換期における離島航路維持の展開 : 瀬戸内海を中心とした不採算航路を事例として
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概要
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本稿は,国の地域公共交通政策の転換期における離島航路維持の展開について,航路事業者や自治体レベルの対応を中心に考察した.研究対象には,瀬戸内海における,経営条件の不利な,人口規模の小さな島と対岸地の間を結ぶ短距離航路を主に選定した.島嶼地域は代替交通手段が乏しいため,定期航路の存続が重視されてきた.地域公共交通政策が転換期にある中で,現行離島航路政策は,陸上の公共交通政策に比べて国の政策的保護の力が未だ強いものであるが,補助制度の変更により各事業者には収支改善がより強く求められている.この下で,対象航路においては,サービスの現状維持に向けて,既往の行政と事業者が中心となって,運航体制が維持されてきた.収支改善は事業者の費用抑制により進められ,財政支出の抑制と航路の現状維持の両立とが図られてきた.しかしながら,船員不足の深刻化といった問題も生じており,航路を維持するための経営資源の拡大や航路維持体制の再編成などの重要な課題は残されたままである.
- 2010-03-30
著者
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