Atharvaveda-Parisista 50-57章について : Kurmavibhagaを中心に
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概要
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Atharvaveda-Parisista(abbr.AVPar)全72章の中には天文・占星に関する記述を含む章が存在する.その代表的なものは第1章Naksatrakalpaであるが,これはその重要性が指摘されていたにもかかわらず,テキスト確立の困難さから,内容の解明が進んでいなかった.AVParは内容的に大きく2つに分けることができ,50章から始まる後半部は主に前兆を主題としている.特に50〜57章においては占星術的要素が集められているが,Bisschop&Griffiths[2003]によりこれらの章についての研究が不十分であることが明らかとなった.著者らはすでにAVParにおけるnaksatraに関しての研究の一部を第14回World Sanskrit Conferenceにて口頭発表を行った.本論文においては特に50〜57章に見られる天文学的特徴を明らかにしたうえで,天上と地上の異変を亀の甲羅になぞらえて描く第56章Kurmavibhagaに関して翻訳と解説を行った.この章は,校訂者も述べているとおり,韻律の乱れが激しく,さらに文章表現上の明らかな特徴も見られる.また,亀の甲羅を九つの方角に区分して述べる地名については類似の描写がBrhatsamhitaやプラーナ文献などにも見られるものの,地名の配当の具体的な比較の結果,AVParにのみ明らかな系統の違いが見られた.
- 2010-03-25