自閉症幼児の保育者への愛着の形成過程 : 障害特性と集団活動への参加形態の発達的変化に着目して
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概要
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自閉症幼児の愛着対象の形成過程について検討した先行研究から,自閉症幼児の愛着形成が通常のものとは異なるものの,養育者により多くの愛着行動を示すことが明らかにされている.本研究では,1名の自閉症男児(生活年齢・2歳11ヵ月〜4歳10ヵ月)と療育施設の保育者との愛着関係について取り上げ,その障害特性について諸行動に発達的変化と集団活動への参加形態の変化とをあわせて事例検討を行い,自閉症幼児の保育者への愛着形成の特徴と意義について検討した.本研究の結果は以下の通りである.1)自閉症幼児の愛着対象の形成過程には3つの質的に異なる段階と各々の段階間に移行期が見られる,2)各々の段階で他者理解のレベルが異なる,3)移行期にみられる質の異なる葛藤場面の出現が,保育者との愛着関係の移行に重要である.自閉症幼児が愛着対象を形成する療育実践上の意義と,愛着対象の形成における集団活動や他児の存在の意味について論じた.
著者
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