国際条約「障害者の権利条約」と中国の国内環境整備 : 中国での障害者の権利保障確立に向けて
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概要
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2008年6月,中国は人民代表大会常務委員会において,国際条約である「障害者の権利条約」を批准することを決定し,その2ヵ月後の8月,正式にこの権利条約を批准した.権利条約への批准は,国内法の拘束を意味する.果たして,中国は「障害者の権利条約」を国内において実行に移すことができるのだろうか.そこで本稿は,条約を受け入れるにあたり,中国はどの程度,国内の環境整備を進めているのか考察を行った.その結果,障害児童への教育や,障害者の文化的な活動を促す取り組みについては,条約の内容に一部近接していることが明らかになった.しかし同時に,条約の批准に際して,調整が必要と考えられる領域があることについても指摘した.最後に,中国がこの「障害者の権利条約」を批准することで,障害者の権利を保障する重要性が社会に浸透し,中国国内に住む8,296万人の障害者に,合理的な配慮が行き届いた調和の取れた社会建設が期待できることをあわせて言及した.