19世紀のプロムナード・コンサート : ミュザールとジュリアンの音楽活動に関する予備的調査報告
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概要
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19世紀中葉のパリとロンドンでプロムナード・コンサートを主催して人気を博した作曲家・指揮者ミュザール (Philippe Musard, 1792-1859)とジュリアン(Louis Jullien, 1812-1860)の活動の実態を探る。まず音楽雑誌記事索引RIPMをもとに彼らの活動を概観、大英図書館所蔵の作品データ(ミュザール233件、ジュリアン367件)を調査して、舞曲、特にカドリーユ中心の創作傾向や家庭音楽用編曲の多さを確認した。またミュザール《こだまカドリーユ》とジュリアン《大英陸軍カドリーユ》の楽譜を分析し、ミュザールがカドリーユの音楽的可塑性を生かして聴衆との音楽的コミュニケーションをはかり、ジュリアンは更に表現の新しい可能性を追求して音楽に社会的・政治的なメッセージを媒介する役割さえ担わせたことを見た。プロムナード・コンサートは今日のポピュラー音楽文化の先駆というべき都市的・社交的音楽空間であり、今後も更なる調査と再評価が必要である。
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