第75回東京女子医科大学学会総会シンポジウム「季節性インフルエンザと新型インフルエンザ」(3)新宿区における新型インフルエンザ対策を振り返って
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概要
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本年4月下旬、メキシコで新型インフルエンザが確認され、その後、5月中旬には国内で、次いで都内で、そして6月中旬には区内でも感染者(患者)が確認された。,全国的な流行が続いている状況下で、都心区の一つである新宿区がこれまでに取り組んできた対策の経過を振り返り、各々の段階を検証(結果は下記の(1)〜(7)である)するとともに、今後に求められる対策を考察した。,(1)新宿区発熱相談センターでの相談件数は、都内初の患者発生時にピークを示した。,(2)検疫の通報による健康観察では、感染者(患者)は発見されなかった。,(3)全数把握の期間における区内での患者は、12人であったが、いずれも区外患者との濃厚接触者であった。,(4)区内での集団感染は6月から発生し、7月下旬から急増している。、集団感染のPCR検査で検出されたウィルスは、7月からの例は全て新型インフルエンザであった。,(5)区立小中学校の臨時休業は、夏休み前に1件発生し、9月に入り急増している。、(6)9月中旬までの入院サーベイランスの該当者は4人であった。いずれも12歳未満の子供であり全例が治癒退院した。,(7)新宿区における定点サーベイランスでは、38週(9月中旬)の段階で注意報レベルに達していないが、患者報告数は急増している。9月下旬頃に注意報レベルに達すると予想される。,新宿区の新型インフルエンザ対策は、今もなお進行中である。今までの経過の中でクローズアップされたのは、以下の3点であった。(1)全庁体制が対策の機動性と実効性を高めた。(2)医療関係団体等で構成する「新型インフルエンザ対策連絡会」が医療体制の確保に有益であった。(3)情報の迅速な周知徹底の難しさであった。、今後の流行に向けて、一人一人の感染予防行動と適切な受療行動が更に求められる。同時にサーベイランス体制の強化および医療体制の確保、そして普及啓発と相談体制の3点が重要な対策の柱と考えられる。
- 2010-02-25
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