草の根プログラムを介したコミュニティの授受慣行 : 画像ビューアSusieをめぐる事例から
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この論文では,草の根開発の画像閲覧ソフト"Susie"をめぐってネットで営まれる活動について分析する。ネットを介した社会的実践において,技術的規範と社会的規範は,社会構成主義で論じられるよりさらに峻烈な相互作用の関係にある。本稿ではこの相互性の理解のために,多くのプログラマ,ユーザーが参加する,Susieの活動を調査することとした。Susie本体の機能は本来,非常に制限されているが,プラグインを組み込むことで拡張することができる。プログラマたちはこのプラグインの作成に従事し,ReadMe文書を添付する。調査では,このReadMeについてテキスト分析を行い,彼らの活動に以下のような特徴を読み取った。1)履歴やプログラムの課題を,精緻に視覚化し共有すること,2)他のプログラマに対し,さまざまなかたちで称揚・感謝の意を表現することである。実際,彼らは特異な返礼法として,創作や象徴的な称揚表現を行い関係性を維持しており,対抗贈与的な慣行を営んでいるといえる。Susieコミュニティの活動は,個人の自発というより構造的に仕組まれた慣行であり,周到な文化システムによって涵養されているのである。
- 2009-12-03
著者
関連論文
- 草の根プログラムを介したコミュニティの授受慣行 : 画像ビューアSusieをめぐる事例から
- エスニック・ツーリズムと原住民文化 : 台湾におけるテーマパークの実践事例から
- 12人-27-口-15 台湾原住民の伝統的身体とその観光化利用(12.スポーツ人類,一般研究発表抄録)