右室梗塞患者におけるテクネシウム99mピロリン酸心筋SPECT : 血行動態との比較
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概要
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^<99m>Tc-pyrophosphate(PYP)シンチグラフィーは,急性心筋梗塞の診断に用いられているが,右室梗塞の診断能については未だ明らかにされていない.本検討は,PYPの右室壁集積所見と血行動態指標を比較し,右室梗塞症例のPYP画像の特徴および臨床的意義について検討した.急性下壁梗塞連続25例を対象して-<201>T1・PYP dual-SPECT(D-SPECT)を施行し,PYPの右室壁への集積の範囲により,右室に集積がないN群(n=12),下壁から鋭緑部まで集積を認めたP群(n=5),下壁から鋭緑部を越え右室自由壁まで集積を認めたA群(n=8)の3群に分類した.右室梗塞の確定診断は"平均右房圧が10mmHg以上で,肺動脈楔入圧との差が1〜5mmHg以下"の診断基準(Lopez-Sendon)を用いた.A群の平均右房圧は10.8±3.1mmHgとP群5.5±2.4,N群5.5±1.5に比べ有意に高値であった(p<0.01).A群の心係数は2.3±0.2l/min/m^2と,P群3.0±0.04,N群3.0±0.7に比べ有意に低値であった(p<0.05).Lopez-Sendonの基準を満たした症例は25例中の6例で,6例はすべてA群に含まれた.P群,N群に右室梗塞は1例も認められなかった.D-SPECTを用い,右室自由壁へのPYP集積を右室梗塞診断の根拠とする場合,診断のsensitivity,specificityは,それぞれ100, 89%であり,超音波診断の同83, 79%,心電図診断の同83, 95%と比べ良好な診断成績であった.D-SPECTによる右室梗塞の診断は,下壁から右室鋭緑部を越えた右室自由壁のPYP集積を確認することが必要であり,同基準を用いることが良好な右室梗塞の診断が可能であった.
- 東京女子医科大学の論文
- 1996-11-25
著者
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