顆粒球エラスターゼとインターロイキン8が非感染性svstemic inflammatory response syndromeにおける呼吸障害に果たす役割について
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概要
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〔目的〕過大侵襲に伴う成人呼吸促迫症候群や播種性血管内凝固症候群の発生機序は,各種炎症性メディエーターや顆粒球エラスターゼ(PMNE)等の血中内流出による炎症の波及と考えられている.systemic inflammatory response syndrome (SIRS)症例の肺胞洗浄液(BALF)と血中のPMNE,インターロイキン8(IL-8),及びBALF中albumin濃度を分析することにより,このような考えの妥当性につき検討した.〔方法〕集中治療室入室時に気管内挿管されたSIRS症例で,入室時に肺疾患のなかった非感染例18例(A群)と,肺炎を主訴に入院した2例(B群)を対象とした.A群5病日以内,すなわち肺炎等の呼吸障害を起こしていない症例(A1群)のBALF中のIL-8,PMNE,albumin濃度と,血中のIL-8,PMNEを検討した.また,A群症例で6日以上の長期間呼吸器管理となり,呼吸障害として肺炎を来した,または来した可能性の高い症例(A2群),およびB群症例について検体の分析を行った.〔結果〕全症例においてBALF中PMNE値とBALF中IL-8値は,極めてよく相関(r=0.917,p<0.01)し炎症と関わっていることが明らかとなった.血中IL-8は血中PMNEと相関がなく,BALF中のPMNEやBALF中のIL-8とも相関がなかった.A1群の血中PMNEと,BALF中PMNE対数値(r=0.780,p<0.01)及びBALF中IL-8対数値(r=0.700,p<0.01)は相関が高く,BALF中PMNE濃度とBALF中albumin温度も相関していた(r=0.709,p<0.01).なお,A2群とB群には上記相関は認められなかった.〔考察〕SIRSに伴う肺障害の発生機序として,血中PMNEの影響下に,末梢血管局所を場として指数関数的にIL-8が産生され,結果として炎症が波及するとともにそこで新たに炎症が起こるものと推定された.また,血中PMNEは,SIRSの初期段階から遠隔臓器としての肺に障害を与えていることが判明した.
- 1999-10-25
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