細胞異型とp53発現からみたhigh grade adenomaの内視鏡的特長
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概要
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最近,早期胃癌ばかりでなく腺腫に対しても内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)が積極的に行われている.しかし,EMRは出血や穿孔といった重大な偶発症があるため,我々は腺腫の全てに対してEMRを行うわけにはいかない.一般的にEMRの適応は生検病理診断による細胞異型度で決まるが,適応基準にはいくつかの問題点がある.ひとつは,高分化型腺癌と鑑別診断が難しい腺腫(いわゆる良性悪性境界病変)の存在である.このような腺腫は病理診断からはEMRの適応であるが,内視鏡的特徴がはっきりしない.もうひとつは,細胞異型度が低くみえる腺腫にもmalignant potentialの高いものが存在することである,これらの点について,過去の内視鏡的検討報告には,通常内視鏡検査に利用できるような十分な肉眼的診断基準はまだない.本研究は,真の良性悪性境界病変(high grade adenoma)を明らかにし,腺腫に対するEMRの適応について内視鏡的な基準を明確にすることを目的とした.そのため,先ず胃腺腫の細胞異型度と遺伝子異常についての検討結果からhigh grade adenomaを設定した.次にhigh grade adenomaの背景粘膜について組織学的に検討したところ,high grade adenomaのほとんどが腸上皮化生を背景としていたことが分かった.そこで腸上皮化生を背景とする腺腫の内視鏡的形状,色素内視鏡検査による表面構造,色調,大きさについて検討を行なった.その結果,隆起の表面構造が分葉(lobular)を示すもの,集簇(aggregate)で大きさが1.0cm以上を示す腺腫にはhigh grade adenomaが有意に多く,積極的にEMRを施行する必要がある,という結論を得た.
- 東京女子医科大学の論文
著者
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