重症心身障害のある子どもから育児の力を見出す母親の体験
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は,重症心身障害のある子どもを育てる母親の子どもへの認識に伴う体験から,子どものこころの動きを認識する体験に主眼をおき,その体験を記述し理解することである.家庭で重症心身障害のある子どもを育てている母親3名に,非構成的面接を実施し,現象学的アプローチを参考に質的記述的に分析を行った.母親は,子どものこころの動きを見出し,子どもなりの反応や理解を意味づけることで,育児の喜びや意欲を見出していることが示唆された.一方で,主体を認識することが,母親にとって必ずしも育児の喜びや意欲につながらないということも見出された.また,今回新たに,子どもの主体を認識することは,母親が子どもの現実を解釈するためにも重要であることが示唆された.母親が子どもの主体を認識することと,母親自身がその状況を解釈していく過程を支えることが重要と考えられた.