「食」のスピリチュアルケア
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概要
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現代の私たちは、ただ栄養分だけを考えて食するわけではない。そのため、「食」のケアを栄養管理や摂取方法の代替のみで補っても、ケア対象者の満足度を高めることは難しい。むしろ、「食」の変化は、その人の存在そのものを揺さぶり、生きる意味への問いへと連なっていく甚深なる出来事である。そこで本稿では、生きる意味といったケア対象者の主観世界に寄り添うスピリチュアルケアに着目した。私たちは、〈いのち〉の恵み・支えとしての「食」に、五感を駆使した彩りある食世界を展開して、独自の「食歴」たる固有世界をもつ。そのような「食」が、病気等によって変化を余儀なくされた時に起こる痛みのケアや、存在意義、生きる意味を揺さぶられた状況をサポートするためには、スピリチュアルケアの介入が有用であると言える。今後、スピリチュアルケアが、食看護学やNSTが目指す「食」を通してのQOLの向上に寄与するケアとして、展開していくことが期待される。