タケノコ生産地域における竹林の分布拡大過程 : 千葉県大多喜町の事例
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概要
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1.南関東最大のタケノコ生産地域である千葉県夷隅郡大多喜町平沢集落において,竹林の拡大と人間活動との関係を明らかにすることを目的に,空中写真判読により竹林分布の変遷を明らかにし,タケノコの生産活動の変遷や竹林に隣接する植生・土地利用,斜面傾斜,道路からの距離と竹林拡大との因果関係を明らかにした.2.調査地域での竹林の年間拡大率は1966-74年が1.086倍,1974-84年が1.010倍,1984-2001年が1.023倍であり,拡大の傾向が続いていた.集落全体での竹林の年間拡大率は,タケの植栽が盛んにおこなわれるタケノコ生産の拡大期には非常に高い値になり,タケノコ生産や管理が変動しない期間では低い値に,タケノコ生産が衰退し,管理の粗放化が生じると再び値が上昇する傾向がみられた.3.タケはいずれの植生・土地利用型の場所にも拡大をしていたが,特に放棄された畑地での拡大が著しかった.一方で,人為的に竹林化が防がれる水田,宅地などへの拡大は小さかった.4.竹林への手入れが行き届きにくい30°以上の急傾斜地や道路から150m以上離れた場所で竹林の拡大が著しかった.5.竹林の分布とタケノコ生産活動が密接に関係しているタケノコ生産地域では,地形や植生の条件が竹林管理の容易さに関わる要因として間接的に竹林の拡大速度に影響していた.
- 2008-06-25
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