海洋における発色団含有溶存有機物の機能と動態に関する研究(2009年度日本海洋学会岡田賞受賞記念論文)
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概要
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本稿では筆者がこれまでに行ってきた蛍光光度法及び吸光光度法を用いて得られた発色団含有溶存有機物(Chromophoric Dissolved Organic Matter,CDOM)に関する研究成果を紹介する。発色団含有溶存有機物は,分光学的特徴によりタンパク質様(proteinlike)蛍光などの生体構成成分由来および腐植様(humic-like)発色団含有有機物に区別する事ができる。タンパク質様蛍光は溶存有機物中に実際に存在する芳香族アミノ酸に由来する事を明らかにした。更に,タンパク質様蛍光特性とアミノ酸濃度・組成から,分子量5000以上の高分子画分におけるアミノ酸含有溶存有機物は,表層では長鎖ペプチド,深層では短鎖ペプチドと深度によって主要な化学形がそれぞれ異なることを示唆した。腐植様発色団含有有機物に関しては,それが有機物の分解過程で生成する事を観測的・実験的に示した。また,海洋自生性腐植様発色団含有有機物は少なくとも900年程度の時間スケールで生物学的難分解性である事を示した。
- 2010-01-05
著者
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山下 洋平
フロリダ国際大学
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Yamashita Youhei
Department Of Earth And Environmental Sciences Graduate School Of Environmental Studies
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