マクロとミクロに引き裂かれてあるものとしての(私の)民族学/人類学(第4回日本文化人類学会賞受賞記念論文)
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概要
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私にとっての民族学/人類学は、極ミクロと極マクロという2つの認識地平からなる学問領域である。この2つの地平を無理に接合させる必要もなく、またその間を安易に埋める必要もない。むしろその断絶と乖離を嘉し、それとして見つめることのなかに、人間の存在と活動に関して、他の隣接学問領域のそれとは異なるこの学問独自の接近法があると考えている。これを前提にして、文化人類学会賞受賞の機会を利とし、より広い人類学の領域のなかで「資源」という研究対象がどのような位置を占めるのか、それを、死、「もの」、民族、進化という4主題にからめて語ることにする。資源はこれらの主題に挟まれて析出してくる対象とみなすことができる。進化という極マクロの時間尺度から、民族と死というそれぞれが類と個(ミクロ)を結ぶ回路に関わる、たがいに密接に結びついた2主題を経て、4主題のなかではより直接的に資源に関わる「もの」に至る。「もの」の研究に人間中心主義からの脱却を展望し、進化、民族、そして死からなる主題の正三角形のなかに、消滅というかたちで頂点を極めるようにみえる形態生成の過程を追究するのが、民族学/人類学研究における私の願望である。
- 2009-12-31
著者
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