アスベスト : 免疫異常の誘発という気がかり
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概要
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人の疾病について考える際に,いわゆる自然発生的(idiopathic)な発症と既知の環境因子に起因する疾患が,特別の理由もなく区別して扱われてきた様に思われる.しかし,本稿で扱った珪酸や珪酸塩化合物のみでなく,様々な物質について,人は或るときは職業上の,またある時は生活環境中での曝露により,絶えず疾病への危険にさらされている可能性が重要視されるようになり,疑わしい物質が挙げられている.これは,細菌やカビなどによる感染症の一部が,比較的容易に治療可能となった結果見えてきた現実ともいえる.そしてまた,それらに対する個人の感受性(遺伝的素因)差の重要性も認識されるようになった.珪酸や珪酸塩化合物への曝露による作業関連疾患(本稿では免疫異常に着目するが)は,環境因子が人体に作用した結果生じる人体の変化,奇しくも人体実験にも似た,得がたい貴重な(そして重い)資料について,目撃したことを広く伝えてゆくことが,これらの資料に接することを許された者の務めと考え,まとめたものである.
著者
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