「松会の成立」へ : 中世彦山における儀礼群の集約
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概要
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松会とは彦山をはじめとする豊前の修験霊山で行なわれていた祭礼であり、柱松・御田祭・神幸・風流の四つの要素からなる。これらの諸要素は突然組み合わされたのではなく、松会が構築される以前の系譜があるはずである。そこで松会成立以前に遡って個々の構成要素の系譜をたどる作業が有効である。松会には中心的な三つの系譜の儀礼群が見出せる。ひとつは十三世紀初頭からの舎利会の系譜を引く法会系儀礼群、次に法会に出仕していた芸能者集団の実践の系譜を引く芸能者集団系儀礼群、最後に彦山独自に展開した修験道儀礼の系譜を引く柱松-峰入り系儀礼群である。前二者は中世の一般的な祭礼とも共通するものであるが、後者は彦山における峰入りの整備とも密接に連動している。松会が柱松を中心に構築されたということは、その成立は中世における彦山修験道の確立と表裏一体をなしているのである。
- 2009-12-30