現代ユダヤ思想における宗教と政治の関係 : ヴァイレルとラヴィツキーによる「ユダヤ神権政治論争」
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ユダヤ思想において宗教と政治はいかに関係づけられるべきか、これはイスラエル国家にとって、またそこに住むユダヤ人(=イスラエル人)にとって極めて重要な問いである。昨今、ユダヤ系の政治哲学者に高い関心が集まっているが、ユダヤ的伝統の立場から、政治思想を論じる試みは、まだあまり日本で紹介されていない。本稿は、「ユダヤ神権政治」理解をめぐる、ゲルション・ヴァイレルとアヴィエゼル・ラヴィツキーの「論争」を考察し、これによって、現代ユダヤ思想における宗教と政治の対立軸を明らかにすることを試みる。対立軸となる「ユダヤ神権政治」の内容として、一方はユダヤ人の政治的関与を全く否定する立場を取り(ヴァイレル)、他方は「神の支配をひたすら待ち望む」姿勢に基づく消極的な政治関与を認める立場をとる(ラヴィツキー)。この見方の対立は、現代イスラエルにおける宗教と政治の関係に関する二人の立場にも対応している。
- 2009-12-30