円偏光X線回折でみる結晶カイラリティ(最近の研究から)
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概要
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私たちの身の回りには,鏡像異性体を持つ結晶が多くある.それらの結晶構造は,我々の右手左手の関係と同様にお互いに鏡に映った像のように見える双対を有している.たとえば,アミノ酸,糖類,アドレナリンなどの有機分子,さらには,水晶やテルルなどの無機質結晶にも鏡像異性体がある.これらの物質の左右の構造を区別するために,光の旋光性が調べられる.一方,X線回折は,結晶構造を解析するために最も良く用いられる方法のひとつである.しかし,残念ながら右手左手の区別は簡単ではない.最近,我々は円偏光X線を用いた回折実験を行うことで,水晶の右左が区別されることを示した.本稿では,その研究成果について紹介する.
- 2010-01-05