医療と「サービス」(2009年,第1回日本心身医学5学会合同集会(東京))
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概要
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今日の日本社会では「医療はサービスである」という言葉がいろいろ反響を招いていると聞くが,その原因の1つは,おそらく,それが外来語であることによるのであろう.試みに身近にある辞書を引いてみると,英語のserviceは社会の中で必要とされる職務を忠実に果たすとの意味合いが強く,これに反して日本語のサービスは商売などで客の歓心を買うために値段を割り引いたり,おまけをつけたりするという語感をもつことがわかった.そこで一応,このように不明確な言葉はさておき,今日の日本社会で人々がいう「医療サービス」の不足とは何かを考えると,単純なシステム不備や待ち時間の問題は別として,その根本はおそらく,医師-患者間の信頼欠如にあるように思われる.では,そうした信頼を取り戻すにはどうすればよいか.私は,本邦では最近えてして軽んじられがちな「寛容」と「敬意」がここでも大きな役割を演じるように思う.医師,患者双方が互いに相手に対して思慮深く,その場にふさわしい「寛容」と「敬意」を抱き,その精神を発揮することによって,「医療サービス」不足の大半は解消されるであろう.
- 2010-01-01
著者
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