花成を調節する長距離および短距離シグナル(<特集>花成誘導)
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概要
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われわれが日常的に目にする植物は,いつでもどこでも花を咲かせるわけではなく,繁殖に最適な環境を巧妙な分子機構に基づいて判断している.その際に重要な指標となるのが,日長や温度といった外的な環境情報である.なかでも日長の変化に応答した花芽形成の誘導は,古くから多くの植物学者の関心を集めてきた.Chailakhyanは花成生理学の研究に基づいて「フロリゲン説」を提唱し,日長変化に応じて葉で産生され,花芽が形成される茎頂へと運ばれる長距離伝達性のシグナル分子の存在を示唆した.長らくその正体は謎であったが,近年のシロイヌナズナやイネを用いた研究をきっかけにして,FT蛋白質がフロリゲンの主要な分子的実体であるとの理解が急速に広まりつつある.本稿では,FT蛋白質が長距離性のシグナル分子として受け入れられるに至った経緯を中心に,花芽形成を制御する長距離・短距離性のシグナル分子について最近の知見を概説する.
- 2009-12-18
著者
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