ウェーブマシンによるパルス波の重ね合わせ
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概要
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ウェーブマシンによって観察される波は,波の重ね合わせが成り立つ線形の波とされている.しかし真空中の電磁波や空気中の音波を除けば,ほとんどの波動は非線形であるが,その効果はめだたない.そこで本研究では,ウェーブマシンで強い波(波高が大きく,波の幅の小さなパルス波)を発生させ,非線形の現象の観察を試みた.実験のために,ウェーブマシンを2台自作した.1台は,中心線に鋼を使用し,もう1台は,中心線にゴムを使用した.ウェーブマシンの左右両端で同時にパルス波を発生させると,2個のパルス波は互いに接近し,ウェーブマシンの中央付近で重なりあい,再び2個のパルス波に別れ離れていく.この過程をマルチストロボを使って連続撮影し,得られたネガフィルムからパルス波の時間と位置を測定して,パルス波が重なり合う前後でのパルス波の位相の変化を調べた.その結果,鋼を中心線に使ったウェーブマシンでは,位相の変化はほとんどなかったが,ゴムを中心線に使ったウェーブマシンでは,重ね合わせの前後でパルス波の位相にずれが生じ,波の重ね合わせの原理があてはまらない非線形波動と考えられる現象が観察された.
- 日本物理教育学会の論文
- 1985-12-10