電子顕微鏡の原理と結晶学への応用
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概要
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最近の電子顕微鏡は,その性能において目を瞠るものがある.加速電圧10万ボルトの透過型においては,その分解能は格子像で1.4Å,2点間で3Å,倍率は直接で100万倍で撮影することが可能になり,また300万ボルトの超高電圧の装置が実用されるようになった.結晶の格子像はもとより,原子や分子の像まで撮影することができるようになってきた.またその応用範囲の広さは格別で、医学生物学,理工系基礎ならびに応用にわたって,ほとんどの研究機関で使用されており,国際電子顕微鏡学会議でも1,500名を越える参加者で賑わっている.また最近の装置は集積回路やトランジスターの使用によって自動化が進んだ結果,初心者でも3日間位の講習で普通の写真なら撮れるように簡易化されてきた.電子顕微鏡は透過型のほかに,走査型,X線マイクロアナライザー,電界イオン型など,多くの種類が開発され、利用されている.限られた紙面でその全貌を紹介することはできないので,透過型について主要な特徴と、併せてその成果の一端を紹介する.
- 日本物理教育学会の論文
- 1978-06-20