超音波によるブラッグ反射の実験
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概要
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結晶を構成する原子の配列をオングストロームより小さい値まで測定し,その構造を解析するX線回折や電子線回折は,極微の世界を直接的に解明する手段であるから,高等学校物理IIではぜひとりあげたい実験項目である.しかし,どのような実験をするにしても,結晶格子からの回折のようすが直接肉眼で確かめられるわけではないので,どうしてもこの間を埋めるマクロなモデルの出現が痛感されることになる.このような観点から,セラミックマイクによる40KHzの超音波を用い,その波長領域でブラッグの式の成立を示すための二次元格子と,簡易なデフラクトメーターを試作してみた.この装置を用いれば,たとえばデバイシェラー環について考察する場合などに,その原理を理解させるための有効な前段階的実験として活用できるものと思われる.報文は,超音波送受信装置とデフラクトメーターの試作内容について述べ,つぎに,平行格子による超音波散乱の基本的な測定結果とブラッグ反射の実験例について述べたものである.
- 日本物理教育学会の論文
- 1976-08-25