歯列上三次元咬合力の正常者像に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,咬頭嵌合位における両側歯列での噛みしめと片側歯列での噛みしめを行った時に生じる咬合力の正常者像を明らかにすることが目的である。天然歯列を有する健常有歯顎者30名を対象に,感圧フィルムによる咬合力測定法と歯列模型の形状測定を併用して下顎の咬合接触面に作用した咬合力を三次元的に解析し,下顎歯における咬合力の合力の大きさ,作用部位,作用方向を検討した。その結果,両側噛みしめの合力の大きさは後方歯ほど大きからた。また,大臼歯の合力は咬合平面に対して近心舌側方向から作用しており,歯軸の傾斜方向に沿う様相が観察された。一方,片側噛みしめの噛みしめ側では,両側噛みしめと比較して犬歯と第一小臼歯の合力が有意に大きくなった。また,臼歯部の合力は両側噛みしめと比較して,頬側方向からの傾きを強めて作用していることが認められた。片側噛みしめの非噛みしめ側では,両側噛みしめと比較して犬歯より後方歯の合力が有意に小さくなり,臼歯部の合力方向は舌側方向からの傾斜を強めて作用していた。なお,合力の作用部位はいずれの噛みしめ条件でも,前歯部では切縁,臼歯では頬側咬頭内斜面の遠心部を中心に分布していた。これら咬合力の発現様相には,噛みしめ時の咬合接触状態の影響や,歯周組織の負担を増加させないための生理学的現象が反映していると推察され,咬合の診断基準の確立に向けて有用な知見になることが期待される。
- 2006-06-30
著者
関連論文
- 垂直的歯槽骨延長術および骨組織再生誘導法(GBR)を併用してインプラント治療を行った1症例
- インプラントにおける磁性アタッチメントの応用 - 第3報 各種インプラント対応オーバーデンチャー用キャップ式磁性アタッチメント(MACS)の検討 -
- 歯列上三次元咬合力の正常者像に関する研究
- 新しく開発されたソフトタイプガッタパーチャポイントの側方加圧における性状の研究
- ニッケルチタンファイル"K3^【○!R】"の根管拡大能力の評価
- インプラント治療に用いた磁性アタッチメントの腐食症例
- ステレオX線撮影による歯周組織の立体観察法 : 第29回秋季日本歯周病学会総会
- 歯周組織の立体X線撮影