Left-sided portal hypertensionを契機に発見された膵悪性リンパ腫の1例
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概要
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Left-sided portal hypertension(以下,LSPH)は脾静脈の還流障害をもとに,慢性肝疾患を伴わない症例に,胃静脈瘤や脾腫などの門脈圧亢進を呈するまれな病態である.また,LSPHに随伴する胃静脈瘤は,脾摘で根治可能となり,治療法の選択に注意を要すると考えられる.今回,LSPHを契機に発見された膵悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性で,2006年5月吐血を主訴に来院した.内視鏡検査で孤立性胃静脈瘤を認め入院精査を進めた.術前画像診断で短胃静脈の拡張と脾腫を認めたが明らかな肝硬変の所見はなく,また脾門部には腫瘍性病変がありLSPHと診断し脾摘および腫瘍摘出を行った.術後胃静脈は消失し,摘出腫瘍は病理組織学的に膵悪性リンパ腫と診断した.肝硬変を伴わない胃静脈瘤や脾腫を有する症例には,LSPHを念頭に診断および治療を進めていく必要があると考えられる.
- 2009-12-01
著者
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川崎 浩資
医療法人春秋会城山病院消化器外科
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西田 司
医療法人春秋会城山病院消化器外科
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梅本 健司
医療法人春秋会城山病院消化器外科
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三好 和裕
医療法人春秋会城山病院消化器外科
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石橋 孝嗣
医療法人春秋会城山病院消化器外科
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田代 圭太郎
医療法人春秋会城山病院
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