渡真利源吉の思想と実践 : ライフヒストリーに基づく戦後沖縄児童福祉史研究・序説
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
渡真利源吉は、琉球政府児童福祉法の実質的作成者であり、1965年3月に琉球政府を辞するまで児童福祉関係の専門官として活躍し、その後1998年3月まで児童養護施設、愛隣園の副園長、園長を務めた人物である。本研究では、渡真利源吉のライフヒストリーのうち出生から琉球政府社会局福祉課児童係長に就任するまでの期間を「出生から終戦まで」、「沖縄本島移住から教員時代まで」、「内地留学」、「琉球政府児童福祉法の立案」、「琉球政府児童相談所時代」という五つの時代区分に分け、紹介を行った。また中間考察として、上記の期間のライフヒストリーから「思想と実践」の形成に寄与した要素を6点ほど抽出し、検討を行った。「戦争体験・臨死体験」は、人命尊重や平和主義といった渡真利源吉の実践思想の核の形成につながった。「キリスト教」は、愛隣園等における福祉実践の指針となったのみならず、米軍占領下の沖縄で米国人とコミュニケーションをとりながら福祉実践を行う際の原動力となった。「教員生活」は、渡真利源吉の現場志向を大きく規定したほか、ひとりの不登校児との出会いが内地留学への決意のきっかけともなった。「日本社会事業学校への留学」は、琉球政府児童福祉法の立案作業および米軍物資窃盗児童への対応に関する指針をもたらし、また内地に様々な知人とのつながりを作ることに寄与した。「琉球政府時代の実践と山崎亮一との出会い」は、当時最新の米国児童福祉の人権概念やソーシャルワーク理論を渡真利源吉にもたらし、琉球政府児童福祉制度の基礎の形成につながった。
- 2005-06-30
著者
関連論文
- 渡真利源吉の思想と実践 : ライフヒストリーに基づく戦後沖縄児童福祉史研究・序説
- 鳩間島における養育里親および海浜留学制度について(その1) : 第1回フィールドワーク報告
- 「暮らしをつくる」それが私たちの仕事 : 平和・人権と社会福祉を考える(第1部:いのち・人権と社会福祉,政策・理論フォーラム:社会福祉はいのち・人権とどう向き合うのか)
- 生活学習論・序説 : 「生活科」における課題と展望