発展途上国におけるガバナンス議論の矛盾 : 国際機関の開発戦略と発展途上国国家論、その変遷と矛盾
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概要
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本論文執筆の目的は、発展途上国のより良い発展のため、どのような政治や行政のシステムを構築すべきか、ということに関するこれまでの議論を整理することによって、途上国における国家構造の実態を知った上で、特に地方における政治や行政のあるべき姿とはどのようなものとなるのかに関する視点を獲得することである。 途上国のガバナンス論には、少なくとも、国際機関の開発戦略と第3世界国家論の二つの流れが見られる。これらは、その理想とする政治体制において相矛盾する一方、民主主義体制をとることに関しては一致する。途上国の地方政治・行政において現在求められているのは、非ボス的で、効果・効率的な政治・行政の実践である。しかし、第3世界国家論研究者が指摘するように、現在の第3世界諸国の地方は、ボス政治家が地域の政治経済を、あらゆる抑圧的手段を用いて、国法とは別に独自のルールを作って支配している。その現状を踏まえた上で、途上国の諸国民がよりよい生活をするために必要な新たな地方政治・行政のモデルを作るには、ごく稀にではあるが、確かに存在するより良い地方政治家の肖像を研究することから始める必要がある。
- 2005-06-30