情報文化における理念系・施設系・人間系の関係性 : ニュース番組の比較内容分析に基づく考察
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概要
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本稿では,事例分析による情報文化空間の検証を通じ,理念系・施設系・人間系の関係性を再検討する。具体的には,カナダ社会の主流メディアCTVと比較する形で,エスニック・マイノリティである先住民族が運営するテレビ局APTNのニュース番組を分析する。結果として,先住民族テレビ局のニュース・フレーミングとフォーマット上の独自性が明らかになり,また,情報文化における施設系としての新たなメディア実践の意義が確認された。その一方で,人間系の検証が比較的困難であることも判明した。その理由としては,人間系が理念系と施設系の単純な帰結として導かれるわけではなく,理念系の存在と施設系の構築を前提に,周辺環境との複雑な相互作用を経て実現すると考えられる点が挙げられる。この意味において,同列に扱われてきたこれら情報文化の構成要素(コンポーネント)の関係性について,検証の方法論も含めてさらなる研究を進め,情報文化理論の精緻化につなげることが望まれる。
- 2009-09-15